おもちゃバコ

中身スカスカ♡

「Winny 天才プログラマー金子勇との7年半」を読んだ

こんちは

Winny 天才プログラマー金子勇との7年半を読んだ感想です。

ほぼ読書感想文です。


Amazon

Amazon Primeの特典で読みました。

自分は世代ではないので詳しくないのですが,Winnyマルウェアが拡散されていたことを受けて当時の官房長官Winnyの利用を停止するように国民に呼びかけるほど注目されていたそうです。

Winnyが注目された時代を覚えている人は本書籍を楽しく読めると思います。


感想

技術的な話がメインではなく,Winnyの開発者である金子勇さんが無罪になるまでの過程を弁護士の視点から書かれています。
内容の大部分は検察と弁護側のやり取りが中心で,担当弁護士(著者)が無罪を勝ち取るまでの軌跡です。

Winny事件の怖いところは,Winnyを利用して違法ダウンロードを行っていた者だけではなく,Winnyの開発者も著作権侵害行為を「幇助」したとして逮捕されてしまったことです(「幇助」はWinny事件のキーワード)
もしWinny事件で無罪が勝ち取れなかった場合,日本での技術の開発や利用に大きな影響を与えていたかもしれない…

検察とのやり取り(というか戦い)も詳細に記述されていますが,検察はなかなかあくどいことをしていたようで,弁護側の視点から見た検察の姿なので悪者に見えてしまいますが,尋問の様子をまとめた当時のブログを読むと事実っぽいです。
公判を傍聴した人が内容をまとめて公開している当時のブログが存在する当たりWinnyの注目度がわかりますね。
(現在(20221124)でも「カプセルマン winny」とかで検索すると出てきます。カプセルマンの詳細は本書を読んでね。)

また,本文中に某放送局が弁護団に送った手紙の要約とその手紙の写真が掲載されているのですが,ほぼ晒し同然の扱いで笑いました。
正直誰でも怒る内容だったので同情の余地はない気がします。

最終的には無罪となりましたが,Winnyについた悪いイメージと無罪になるまでに経過した時間を考えると何とも言えませんね…
ただ,NFTの登場でP2Pの技術が再度注目されたことで,Winnyに実装されている技術は将来性のあるものだったとも考えると,無罪を勝ち取った事で開発者の名誉は守れたのではないかと個人的には思います。


まとめ

P2Pについて調べていた時にWinnyの記事を見かけ,仕事のお昼休みに読み始めたのですが担当弁護士の狂言回しが面白くてスラスラ読めました。

趣味でプログラムを書く人やソフトウェアを開発して公開している人などは,本書を読んでみるといろいろ思うことがあるはずです。
特に「どのような目的」で「どのようにして公開する」のかは技術者であれば明確にしておきたい項目だと思いました。

また,悪意の有無に限らず,ソフトウェアなどを公開することで社会に与える影響を考慮することは,技術者として必要な能力だなと改めて感じました。

おまけ

この記事を書いているときにwikipediaを見て知ったのですが,来年(2023年)に映画化されるそうですね。
ja.wikipedia.org